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 いよいよ12月に入って朝夕が冷えこむようになり、風邪やインフルエンザが心配な季節となりました。皆様の予防対策は万全ですか?気合を入れていると風邪を引かないと言っておられる方が多いですが、確かにとても忙しいときは風邪をひかず、一段落してほっとしたときにひきやすかったという経験をお持ちの方も多いでしょう。症状の出方に、体調は大きく影響します。

 インフルエンザはご存知のように、インフルエンザウイルスに感染することで起こる病気です。普通の風邪の症状がのどの痛みや鼻水、くしゃみ、咳などが中心で、発熱も高くなく、全身症状が強くないのに対して、インフルエンザでは、風邪症状のほかに、38度以上の高熱や頭痛、さらに筋肉痛や関節痛などの全身の症状が強いことが特徴です。

 インフルエンザウイルスは、ウイルスの抗原性の違いから、大きく、A型、B型、C型に分類されます。その中でも、A型はウイルス表面の糖タンパクの抗原性から亜型に分類され、香港とかソ連と名前がついています。このように、インフルエンザの中でもいくつもの種類があるため、同じシーズンに何度もインフルエンザにかかる(異なる種類の)ことがあるのです。

 風邪薬というのは、風邪に伴う諸症状を和らげるのみですが、インフルエンザに対しては、かからないためのワクチンや、からだの中で増殖したインフルエンザウイルスが細胞外へ出て行くことをブロックする薬があります。

 ワクチン接種によって、インフルエンザによる、気管支炎、肺炎、小児における中耳炎、急性脳症などの重症な合併症や死亡を予防することが期待できます。インフルエンザのウイルスのタイプがたくさんあるため、流行株は毎年変化しますし、ワクチン接種による効果はおよそ5ヶ月のため、毎年シーズン前にワクチン接種を受けることが必要です。さらに、ワクチン接種後その効果が現れるまで、通常約2週間程度かかります。

 治療薬としては、2001年2月より、吸入薬のザナミビル(商品名リレンザ)と飲み薬のリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)、2002年4月よりリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)ドライシロップが健康保険の適応となっています。インフルエンザの症状が発現して48時間以内に服用すると、合併症のないインフルエンザの罹病期間を短くすることが確認されています。さらに、アメリカで予防効果が高率に認められたことから、健康保険はききませんが、2004年7月より予防薬としての効能が追加されました。

 しかし最近、小児患者におけるリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)の安全性に関しての評価がなされています。今のところ、アメリカのFDAも、日本の厚生労働省の見解としても、安全性に問題はないと考えていますが、世界のインフルエンザ治療薬消費の50%以上を日本が占めている現状を考えると、必ず医師とよく相談の上、その効果について十分理解されたうえで服用されることをお勧めします。

 風邪にしてもインフルエンザにしても、むしろその対応の基本は予防と思います。日頃から、体調管理に努めて、免疫力が落ちないようにしておきましょう。また、インフルエンザウイルスは、かかった人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫より感染します。空気が乾燥するとのどの粘膜での防御機能が落ちますので、適度な湿度が大切です。特に、長時間飛行機に乗られる方は、機内は乾燥していますのでこまめな水分摂取やうがい等に気をつけてください。また、インフルエンザにかかった人は、症状が出てから、3日から7日間はウイルスをまきちらしますので、少なくとも解熱後2日は外出を控えましょう。ほかの人にうつさない気配りも大切と思います。

 何かと慌しく、忘年会等で生活が不規則になりやすい季節、積極的にうがいや手洗いに努め、できるだけ睡眠とビタミンCをとって、保温と加湿を心がけ、よい年が迎えられるようにいたしましょう。

 なお、鳥インフルエンザの話題や、リン酸オセルタミビル(商品名タミフル)について、厚生労働省のホームページの「新型インフルエンザに関するQ&A」がリニューアルされました。 参考資料はこちらからダウンロードできます。あわせてご参考ください。